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2006年11月01日

キャリアデザインとは

■■■キャリアデザイン■

今や終身雇用は終焉し、組織は常に変化している。このように自分のキャリアを会社任せにする時代は終わったという状況下では、どのようなキャリアを歩みたいのかを自分自身に問い続けていかなければならない。そして働く環境が不安定であるからこそ、核となる自分自身のキャリアに対する価値観を構築することがいっそう重要になってきた。

また、企業にとっても、自立的にキャリアを考える社員の育成は重要な課題だ。カフェテリア型の研修制度やFA制度の導入は、まず社員が自分のキャリアは自分で作るのだという意識をもってこそ機能するからである。

■■■キャリアとはなにか?■

キャリアという言葉を聞くと、職歴や経歴を思い浮かべる人が多いだろう。いわゆる履歴書に書けるような職務経験のリストだ。これは、当然ながらキャリアの一側面をあらわしており、外から見ることができるという意味で「客観的なキャリア」と呼べる。

キャリア研究者の第一人者の一人である神戸大学の金井教授は、キャリアを、「長い目で見たときの仕事生活のパターンや意味づけ」と定義する。これは、職歴・経歴といった「客観的なキャリア」について、本人がどう考えているかも問う「主観的なキャリア」の定義でもある。

近年は、この「主観的なキャリア」の価値観を問うことの重要性が強調されるようになった。スキルや能力の棚卸し、将来の計画は当然のことながら大切である。しかし、ことさら不安定な環境の中で、自分のスキルや能力を現在および将来の職務にマッチさせていくために、まずは核となる自分の「働く価値観」を見つめ、理解することから始めなくてはならない。


■■■主観的キャリアを問う意味■

私たちはキャリアの進展に伴って、自己認識を深め、自己イメージを育てていくといわれている。
自己イメージは、仕事を通じた多種多様な経験の中で、さまざまなフィードバックを受けながら形成されていく。 才能、動機、価値観は複雑に絡み合って発達していくが、この複雑な中身を、自分なりに整理し、理解し、納得していることが、自己認識である。

なぜ自己イメージ、主観的キャリアを自分で理解することが重要なのだろうか。それは、これからのキャリアの方向性を定めるのに、自分のコアになる価値観を知っておくことが重要だからだ。私たちのほとんどは、常に自分の欲求や価値観にあった仕事ばかりできるわけではないのが実情である。たとえままならない状況にあっても、やらされ感を感じずに、よりどころとなる自分を持ちつつ仕事をしていくためには、主観的なキャリア観、内なる声に耳を傾けている必要があるというわけだ。また、自らの自己イメージや、これまでのキャリア歩みに対する深い洞察は、優れたリーダーの資質としても重視されている。

■■■いつキャリアを振り返ればいいのか■

キャリアの問題において、「節目」へ注目することは大切だ。節目をくぐりぬける体験こそが、成長するために「一皮むける経験」であるからだ。

自分の節目はどこにあったか振り返ってみよう。節目でわかりにくければ、仕事の仕方や考え方を変えるような体験、転機、ターニング・ポイントになった経験を回顧して見ればよい。

キャリア発達が前進する過程で、私たちは必ずしも一直線に自分の目標や理想像に向かって進んでいけるわけではない。どんなに慎重に、綿密な将来計画を立てたとしても、将来のビジョンを修正することになるかもしれない。何十年にも及ぶキャリアの全体を一度にデザインすることは無茶な話である。それよりも、節目ごとにデザインを修正、調整していくことは現実的であり効果的な戦略なのである。


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コンフリクトマネジメントとは

■■■コンフリクトは悪か?■

コンフリクト(Conflict)とは、衝突、葛藤、対立などの概念で用いられ、従来「コンフリクトを引き起こさないように、できるだけ避けなければならない」という考えが支配してきた。

その後、このコンフリクトについて様々な研究がなされ、「調和的で平穏な協力的集団は停滞しがちであるので、効果的にコンフリクトを起こす必要がある」といった調査結果から、現在では戦略的にコンフリクトを活用することへと発展し、推奨されるに至った。

一方、和を重んじる国・日本では、戦略的にコンフリクトを捉えている人や企業は少なく、“コンフリクト=悪”として避けようとしたり、あってもないかのように振舞ったりする傾向が強い。また、コンフリクトを解消する術を体系的に持ち合わせてもいない。その結果、その場はしのげても火種は残り、コンフリクトは解消しない。そして、健全さが損なわれていき、変革は遅々として進まないのだ。


■■■コンフリクトは歓迎するもの■

今日のように、ビジネス環境が高度化・複雑化し、変化のスピードが増すと、それに伴って組織は「素早い意思決定と実行」が求められる。ところが、変革を進めていくと、人々はその変化を脅威と受け取り、様々な形で抵抗しようとするため、対立が起こる。

しかし、コンフリクトに対処する術を備えていれば、恐れる必要がなくなる。そして、コンフリクトには多くのメリットがあることに気づく。いくつか挙げてみよう。

・ 変革を推進している証しとなる(抵抗のない変革は、たいした変革ではないだろう)
・ 本音を包み隠さず、率直に意見を言い合う職場の形成に役立つ
・ 自分を知り、相手をより深く理解できるようになる
・ 人間関係を深めることができる
・ 議論の幅や奥行きを出し、意思決定の質を高めることができる
・ 学びあうことで、新しい気づき、アイデアを得ることができる
・ より多くの成果を双方にもたらすチャンスを生む

従って、健全で強固である組織になるには、「社員がコンフリクトを効果的に扱えることが必要条件」であるともいえよう。


■■■コンフリクトにおける対処■

心理学者のトーマスとキルマンは、人が対立したときに取りうる態度について、5つのモードに分類した。

• 競争的・・・相手を犠牲に(説得)して自分の利益を中心に解決
• 受容的・・・自分の要求を抑えて相手の要求を受け入れることで解決
• 回避的・・・その場で解決しようとはせず、対立する状況そのものを回避
• 妥協的・・・互いの要求水準を下げて部分的な実現を図る
• 協調的・・・双方の立場を尊重し、協力しながら事態解決

どのモードが適切なのかというのは、もちろん状況による。従って、「状況に応じてモードを使い分ける」ことが大切である。因みに、アメリカの有能な弁護士は、「協調モード」が圧倒的に多いと言われている。映画などで見るタフなイメージの「競合モード」ではないのだ。また、有能なネゴシエーターは、相手が有能であることを期待するという。そうであれば、「協調モード」をとり、双方にとってより大きな成果を得ることができるからだ。


■■■コンフリクトマネジメント■

それではコンフリクトをできるだけ協調的に解消していくには、どのような手順を踏んでいけばよいのであろうか?

互いに本音を話し合える場で、互いのコンテクストを理解する。そして共通の課題をつくり、解決に向けてアイデアを出す。そのアイデアを評価し、合意する。このようなステップを踏めば効果を得ることができよう。

最後に強調しておきたいのは、「誰かが動かないと組織は変わらない」ということだ。でなければ、相変わらず対立の火種はくすぶったままである。「この組織はおかしい」と思ったあなたが、対立を恐れず動かないと何も始まらないことを忘れないでほしい。「自分には対立を解消できる力がある」という信念を持ち、真摯かつ建設的な態度で臨んでいくことを薦めたい。





ダイバーシティとは

■■■ダイバーシティとは■

ダイバーシティ(diversity)とは「多様性」の意味である。現在、多くの企業が多様性問題の啓蒙活動や、多様性の推進に取り組んでいる。

比較文化学者によると「日本は同質を重んじる文化」であるという。現に日本社会で働く米国人は、日本語の「違う」という言葉は、different(異なる)の意味とwrong(正しくない)の両方の意味があり、すなわち「異なるのは悪いことだ」という価値観が根底にあると主張する。とすれば、種々雑多なものを受け入れるというダイバーシティを、日本人が真に理解、賛同し、推進するのは簡単ではないといえよう。

■■■ダイバーシティの種類■

多民族国家であった米国においては、当初、ダイバーシティは、人種、性別といった、その違いが目に見えてわかる分野に限定されていた。しかし、現在はもっと幅広い視野で捉えられており、今日では、ダイバーシティを道徳や倫理からの視点だけでなく「企業戦略の一環」と考えている。つまり、「多様な人材を取り込み、その人材が実力を十二分に発揮できて、正当な評価を受ける」という企業文化を構築することが、経営上の優先課題になったのである。

日本で雇用機会均等法が施行されたのが1986年であることを考えると、米国より20年は遅れていると考えられるが、少子化に伴う労働人口の減少に直面している今の日本にとっては、人材を多様化するのは待ったなしの課題といえよう。

慶応義塾大学の高橋俊介教授は、日本企業が直面するダイバーシティを次のように非常にシンプルにレベル分けしている。

• 多様性ゼロ⇒新卒男子だけの採用
• 多様性の初歩⇒中途採用
• 多様性の中級⇒女性の活用
• 多様性の上級⇒外国人の活用

女性や外国人を問わず、実力のある人材が最大限の力を発揮するような環境を提供し、組織の求心力を高める努力を怠っている企業は、将来の存続が危ういといって過言ではない。

■■■女性活用■

女性活用は日本企業において差し迫った問題のひとつであるが、今後、女性が活躍できる組織を作るためには、まず2つの誤信を認識する必要があろう。

ひとつ目は、「男女を差別する制度を撤廃すれば、あとは本人の実力や頑張りに任せるべき」という考え方で、もうひとつの誤信は、「女性には女性向きの仕事を与えてあげるのがよい」という考え方である。

これらの誤信は男性だけでなく、多くの女性にも見られる。 多様性を実現したいのであれば、企業はより意識して、女性を採用し、育成し、支援しなければならない。そして、女性は自分たちが活躍するために必要な環境を堂々と主張すべきだ。また、「女性はこうである」という思い込みによってその人固有の潜在能力を見逃さないためにも、男性にも女性にも教育訓練を施すのが有効だ。

■■■性格・行動パターン■

「性格や行動パターン」は最も身近なダイバーシティであろう。自分のチーム内を見渡してみて、あの人とはどうもウマが合わない」と感じる人はいないだろうか。しかし、こういった性格の違い、行動特性の違いは、うまくマネジメントしさえすれば、チーム独自の強みとなる。強いては、組織にとってイノベーションの源泉となる。

従って、メンバーそれぞれの、十人十色の行動や思考パターンを理解して、相互理解を深め、チームとして効果を上げることのヒントを得るために、さまざまな性格・行動診断ツールを活用することを薦める。

世の中にはたくさんの診断ツールが存在し、組織開発やチーム・ビルディングの目的でよく活用される診断ツールとして「DiSC」、「MBTI」、「ハーマン・モデル」、「学習スタイル Learning Style Inventory」などがある。それぞれ特徴があり、用いる軸やディメンジョン(特性)が異なるが、いずれの診断方法も、基本的なポイントは共通している。それは、「個人の特性やパターンは、本質的に悪でも善でもない」という点である。組織開発やチームビルディングといった用途に応じて、何を基準にしたら最も効果的であるかを考え、診断ツールを選べばよいだろう。


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チームビルディングとは

■■■チームビルディングの必要性■

そもそも組織の能力とは、個人の能力が最大限に発揮されることが前提で、しかも個人の能力を足し集めた以上の成果を目指している。それにも関わらず、組織が大きければ大きいほど、逆に、個人の能力を最大限に発揮しようとしない人が増えてしまう。

従って、昨今は、小回りのきく小規模な組織による効率的な経営が追求されており、「企業=少人数のチームの集合体」という考え方が浸透しつつある。すなわち、企業の優位性確保のためには、チームの運営能力がこれまで以上に問われている。

能力や個性の異なる個人が集団を形成し、それがいかにして有機的につながってチームという生き物となるか。そして、それがどのようにして高いパフォーマンスを発揮するようになるのかを考える必要がある。


■■■チームとグループとの違い■

多くの企業で、「グループ」という言葉と「チーム」という言葉とを明確に区別して使っていないのが現実だ。チームの威力を発揮させたいと考えるなら、まずは、グループとの区別を明確に意識することから始めなければならない。

「グループ」は、特定の目的を達成するために集まった複数の人々、ただそれだけである。従って、その業績は個々のメンバーの貢献の総和、それ以上にはなり得ない。ひとりひとりが単に足し算でつながっているイメージだ。

一方、「チーム」とは、グループの中でも協調を通じてプラスの相乗効果を生んでいるものを指す。チームの努力は、個々の投入量の総和より高い業績をもたらす。チームはひとりひとりが掛け算でつながって全体を形成しているイメージだ。

従って、メンバリング(作業グループの編成)によってできた「グループ」を「チーム」として機能するようにするのがチームビルディングといえる。

■■■真のチームとは?■
効率的で生産的、かつ、協力的で効果的な「真のチーム」の特徴を理解することは、チームビルディングの成功のカギを理解することである。結論から言うと、真のチームとは、次に述べる「ダイナミクス」と「フォーカス」が揃っているチームだ。

ダイナミクスとは、「チームの構成メンバーの多様性から生まれる、動的なエネルギー」のことをさす。チームの構成メンバーがバラエティに富んでいると、相互に補完しあえる領域が広く、また、相互作用で生まれる新しいアイデアやイノベーションの幅も広がる。

一方フォーカスとは、「チームのコントロールを生む源泉となるもの」と言い換えることができる。フォーカスがあるチームは、目的や方針や目標、達成すべき期待成果といったものが明確にあり、また共有化されている。理念や価値観や使命感など、チームの根底をなす認識に統一感がある。

ダイナミクス、すなわち、各人の専門性やタレント性のバラエティの豊かさがあってはじめて、チームはチームとしてのエネルギーを有することができ、そして、フォーカスがあってはじめて高い専門性や豊富なタレント性がチームの推進力になるのだ。「ダイナミクス」と「フォーカス」、この両輪が揃ったときに初めて、チームは“真のチーム”として機能し始めることになる。


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バーチャル・チームとは

■■■バーチャル・チームとは■

「バーチャル・チーム」とは、メンバーが離れた場所にいながらにして、一つのチームとして機能している集団のことを指す。それに対して、メンバーが一堂に会して作業するチームは、「リアル・チーム」と呼ばれる。

バーチャル・チームもリアル・チームも、各自が共通の目標を持ち、相互依存関係にあり、チームの発展とともに成長する点では、何ら変わりない。しかし、バーチャル・チームが、お互いの顔を合わせる代わりに、主にテクノロジーとITツールを用いてコミュニケーションをはかる点で大きく異なる。

そして、バーチャル・ルームは、もはや予算・時間・物理的な場所が制約されたときにだけに使う代替のコミュニケーションではない。バーチャル・ルームには、世界規模で知識を共有することができる、遠隔地にいる優秀な人材を確保できる、ワーク・スペースへいつでもアクセスできる、体系化されたコミュニケーション・ツールを通じて明確かつ建設的なコミュニケーションがとれる、などのメリットがあるのだ。

バーチャル・チーム がリアル・チームよりも効果的である場合が多い事実や、ビジネスの発展に伴う組織のグローバルな拡大傾向の状況を考えれば、すでに多くの人々に利用されているバーチャル・チームとバーチャル・コミュニケーションが、今後、プロフェッショナルの間でも実用化が進むことは間違いないだろう。

■■■バーチャル・チームの成功の秘訣■

バーチャル・チームの成功の秘訣は、ビジネスの土台でもある「信頼の構築と維持」だ。例えば、遠隔地間におけるコミュニケーションで、お互いの信頼を得るためには、「自分が置かれている状況と相手の置かれている状況が個々となるということを現実として認識すること」が重要である。

環境の違いによって、お互いの期待も異なり、時にはメッセージの混乱、透明性の欠如さえも生じるものだ。明確なコミュニケーションをはかるよう意識的に努め、協力し合い、また、信頼を維持するためのアクションもおこしていく必要がある。

信頼を得るには「首尾一貫性、透明性、誠実さ」が必要不可欠だ。自らが「これらの資質をすべて兼ね備えているリーダーである」とチームに伝わるようにバーチャル・コミュニケーションをはかり、信頼を勝ち得ていかなければならない。

また、バーチャル・ルームでは自己管理が重要である。距離と時間帯がかけ離れた遠隔地にて、顧客や同僚と仕事をするというのは、非常に難しい点が多い。肩越しに監視する人がいない状況だからだ。

従って、「自分を客観的に見てみる」ことが必要だ。自らを「どんな性格で、どんな環境や時間帯が好きなのか」といった観点で振り返り、自分に合った作業環境を作る。「自己把握こそが自己管理の鍵」である。

■■■バーチャル・ミーティング■

バーチャル・コミュニケーションの主な形の一つが、電話会議である。電話会議を効果的に行うためのポイントの幾つかをここでは紹介しよう。

• バーチャルのファシリテーターをおく
• 時差のある地域にまたがっているチームの場合、ミーティングの時間を調整する
• 参加者全員が共通のウエッブ・サイトにアクセスし、重要な文書や情報を同時に見られるようにして、コミュニケーションの円滑化をはかる
• オンライン上のワーク・スペースを設ける

グローバル化、ライフスタイル多様化の時代において、バーチャル・ルームはこれからも増加の一途をたどるであろう。リアル・チームに勝るとも劣らず、バーチャル・チームが、健全で生産的であるようにしていきたいものである。




ビジョン作りとは

■■■機能しないビジョン■

組織が一丸となるにはビジョンが重要であり、今やビジョンの意義は幅広く認知されている。優れたリーダーというものは、メンバーらの気持ちが高揚し、チームの勢いを増進するようなビジョンを提示ししている。 しかしながら、思うようなビジョンの威力を享受させることができず、困惑しているリーダーが後を絶たないのも現状である。


■■■ビジョン構築の問題点■

ピープルフォーカス・コンサルティング社の10年におよぶ事例分析から、ビジョンに関する典型的な問題点が見えてきている。主なものとしては次のとおりである。

• 業務課題を羅列する
• 他社の事例を集めて、良いとこ取りする
• 漠然としてイメージがわかない
• 複雑すぎて理解が難しく覚えられない
• ワンフレーズ表現
• インセンティブをつける
• 状況の変化にあわせて改定してしまう

まずよく見られる失敗例は、ビジョンの内容が業務課題の羅列になってしまっているケース。明日から取り組むべきことは、業務上の課題であって、ビジョンではない。また、自社のビジョンを作るために、他社の事例を集めて良いとこ取りをしようというケースもみられるが、組織の方向性というよりは“上手な”ビジョンを作ることが目的化してしまっており、本末転倒になってしまう。

「ビジョンが漠然としている」ケースには原因が2通り考えられる。ひとつは本当にビジョン内容が漠然としすぎである場合。もうひとつは、ビジョンを具体的にイメージ化できない社員側の問題。ビジョンは戦略や計画とは違う概念であるのだから、ある程度漠然としたものでよいが、ビジョンは具体的すぎると状況に適合しなくなるリスクがある。

ビジョンが漠然としているのも問題だが、ビジョン内容が複雑すぎるのも問題だ。ビジョンは、誰しもが共有でき、空でいえるくらいの内容が好ましい。かといってワンフレーズビジョンも問題が生じる場合がある。ワンフレーズ表現は、幅広くビジョンを理解し記憶してもらうためには有効な方法であるが、ワンフレーズで表現することで、社員は将来をイメージすることができなくなることがあるからだ。

高尚であるべきビジョンに、安易なインセンティブを付けるケースがあるが、これはアメとムチがないと人間は動かないという考え方に支えられている。しかしこの考え方には限界があり、そもそもビジョンは人間に内在する情熱の芽を開花させるために存在することを思い出してほしい。

変化が激しい今日においては、変化に柔軟に対応していくこととは必要だが、戦略や戦術を機敏に変更することと、ビジョンの改定とを同次元で考えてはいけない。ビジョンは目まぐるしい変化にも揺るがないものでなくてはならないのだ。


■■■ビジョンの意味再考■

上記の問題点に当てはまっていないか、自分の組織のビジョンを見直してほしい。ビジョンは必ずしも「正しく」なくてもいい。ビジョンを作り上げ共有しようとするプロセスこそが、組織やチームに大きなエネルギーを注入するのだ。不完全なうちから、どんどんメンバーや周囲の人にビジョンを語ってみて、意見を交換するとよい。構想力が刺激され、ビジョンがさらに研ぎ澄まされることであろう。

その過程でリーダーは、相手の想像力を掻き立てるような話し方の工夫が求められ、さらにメンバーたちがイメージを抱けるよう支援しなければならない。そのためには、ただ一方的に熱く語り続けるだけでなく、ときには、静かにメンバーたちが思いをめぐらすあいだ、静かに時が流れるのを待つことも必要である。あるいは、メンバーの想像という行為を助けるために、問いかけることも有効である。逆にメンバーから問いを投げかけられることもあるだろう。ビジョンの浸透のためには、事を急くよりも、熟成させるような感覚で取り組むとよいだろう。




ファシリテーターとは

■■■ファシリテーターとは■

ピープルフォーカス・コンサルティング社では、ファシリテーションを次のように定義している:
「中立的な立場で、チームのプロセスを管理し、チームワークを引き出し、そのチームの成果が最大化するよう支援すること」

最近、極めて多くの企業が関心を示している「ファシリテーター」とは、「組織が成果をあげるよう、人と人との効果的なコミュニケーションの場を作り、ひとりひとりのパワーを最大限に引き出し、多様な考えをまとめつつ、対立から合意形成に導き、実行に向けたモチベーションを高める」役割を担う人のことをいう。

会議を円滑に進めたり、複数の人間の協働を促進したりすることを期待されるだけでなく、「企業変革の担い手」とも言われ、昨今、その育成に力を入れる企業が後を絶たない。

■■■ファシリテーターの基本スタンス■

ファシリテーターは、これまでのリーダーシップがコミュニケーションのベースにしていた指示や管理、報酬などを拠り所としていない。その基本スタンスは「本人の理解と納得によるセルフモチベーション」だ。

一般的には“会議を効率よく進める進行役”と位置づけられがちなファシリテーターだが、真の役割はそこには留まらない。単に効率性を追求する進行役ではなく、創造性の発揮や活性化までを成功させ、メンバーの自立を促す役割をも果たすのだ。司会や進行役であれば、そこまで求められていないであろう。

ファシリテーターは、組織の成果は戦略の策定時点ではなく、戦略の実践・実行を通じて実現することを強く認識する必要がある。また、案の策定ではなく、成果の実現に向けた支援をしていることを常に忘れないことが求められる。

■■■ファシリテーターの活用■

ファシリテーターを企業の中で活用していくには、会議やチーム運営の目的、集まるメンバーの多様性の幅、課題や問題の性質などに応じて、誰がファシリテーターを行うのかを検討するとよいだろう。

まず一般的なのは、チームリーダーがファシリテーションスキルを活用して、チームを運営するケースだ。会議や問題解決、意思決定などのチーム運営が格段にスムーズになる。また、チーム内に、当事者意識が欠けていたり、不平不満ばかりを述べていたりするメンバーがいる場合は、メンバーにファシリテーターの役割を経験させることで、参加姿勢を向上させることができる。

その他には、チームの当事者以外の社内のある部門からファシリテーターを派遣する、というのもよい。ファシリテーターには中立性が求められ、プロセスを管理するという役割を担うことから、このような部門がファシリテーターを行うのがスムーズであることが多い。そして、社内だけに留まらず、外部のプロのファシリテーターに依頼するということも有効なので場合によっては検討するとよいだろう。


■■■ファシリテーターの育成■

ファシリテーションの有用性が知らせるようになってきた最近では、ファシリテーター育成に力を入れる企業が増えてきた。基本的なスタンスや考え方、スキルや行動などについては、研修などで育成することは可能だ。

しかし、より大きな効果や定着化を狙うためには、ファシリテーター育成の目的や、ファシリテーターの位置づけを明確にして、育成されたファシリテーターに実践の場を与えることだ。なぜならば、ファシリテーションを実践して長年続いてきた会議のスタイルを変えるのには、勇気やエネルギーがいるからだ。

今後ファシリテーターの育成を考えられる企業のトップや関係者の方は、ファシリテーターの活躍の場を提供し、モチベーションを上げるような、ファシリテーターの「ファシリテーター」であってほしい。


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モチベーションとは

■■■従来のモチベーション理論には限界がある■

変革の時代においては、従来のマネジメントの考え方が通用しない。そのことは、ことあるごとに説かれている通りだ。そして、人を動かすモチベーションについても同じことがいえる。

従来のモチベーション理論には「仕事を始める前に、その仕事がどのようなものかが分かっている」という前提があった。しかしながら、今日の経営環境には不連続で予測し難い変化がつきものである。事前に想定したり、計画したりすることでは対応できない仕事が増えている。綿密に計画しても、実行段階に入ったとたん、予測していなかったことが次々と起こる。

このような先が見えない仕事をする人間を、どのように動機づけることができるかを今日では考えなければならない。

■■■「あめとムチ」は長続きしない■

モチベーションを高める方法といえば、信賞必罰にしくはない、と考えるマネージャーはいまだに少なくない。優れた業績には報酬を、そうでないものには罰を与える。それによって、優れた業績を促進し、そうでない行動を抑制する。いわゆる「成果主義」が幅を利かすようになったのは、この信念に基づくものである。

「あめとムチ」は運用次第では大いに効果があるが、その効果はあくまでも一過性だ。長期的で根本的な効果があがらない。あめを使えば使うほど効果はうすれ、モチベーションは下がる。ムチを使えば使うほど使う意味がなくなる。

これは、問題を解決すればするほど、さらに問題を解決しようというエネルギーを減じてしまうという一般現象であり、緊張構造の欠如として知られている。手に入れたいもの(あめ)や避けたいもの(ムチ)が行動を推進する。そして、それが失せた途端にエネルギーが途絶えてしまう。

また、同じあめとムチが相手によっては通用し、相手によっては通用しない、同じ相手でも、今日は通用したものが、明日は通用しない、ということもある。ストックオプションというインセンティブが通用する相手もいれば、通用しない相手もいる。人の欲望や願望はダイナミックに変わるのだ。

あめとムチを使うなら、何の目的で、相手のどの欲求を充たすのか、そして、相手の欲求が成長や発展によって高次化するとき、どのように変化していけるのか、その方法がいつまで使えるかを見定めなければならない。そして、モチベーションを高めるインセンティブの限界や弊害を認識する必要がある。


■■■永遠の課題としてのモチベーション■

人間のモチベーションに究極の答はない。しかし、人間の普遍性に着目すれば、「あめとムチ」の限界と弊害も見えてくるし、効力感(目前の出来事に対する自分の効力を信じられる状態)と未来傾斜(未来への見通しを信じられるかどうか)が変革の時代のモチベーションを紐解く鍵であることも理解できるだろう。

答はなくとも、常に問いを発することができる。あなたは今、なぜ今の仕事に打ち込めるのか。あなたの部下はなぜ今の仕事に打ち込めるのか。もし心底から打ち込んでいないとしたら、仕事を愛し、組織を愛し、自分の成長や成熟を慈しんでいる未来の自分を想像してみよう。その立場からもう一度あらためて問いを発してみるといい。




リーダーシップとは

■■■ リーダーシップの必要性 ■

今日の組織では、健全さを維持しながら強くなるには「優れたリーダー」の存在は不可欠である。そして、社員全員が経営者のリーダーシップにすがるのではなく、リーダーシップを発揮する存在が組織内のあちらこちらで必要なのである。

複雑化・不確実性が増す今の時代に、多くの企業は「社員が自立的に動くこと」を奨励している。トップからの指示を待つことなく、ミドル層も一般社員も「自分の考えに基づき、行動を起こし、周囲の人に影響を与えていくこと」が求められているからである。

変化の激しい時代においては、部署や企業の枠を超えてネットワークを構築して、取り組まなければならない課題が山積みである。 そこで求められるのは、上下関係に基づくパワーの行使ではなく、「真のリーダーシップで人や組織を動かすことができる人材」だ。組織に組織図がある限り、壁はなくならない。従って、組織の壁をよじのぼっていく、あるいは壁の向こうにいる人を呼び寄せることができる、といった資質が求められているのである。


■■■「真のリーダー」になる■

リーダーシップは、天性に基づくものだという主張がかつてあったが、今やリーダーシップとは日々の努力の積み重ねで磨かれていくものと認識されている。

自分にリーダーシップが備わっているかを判断するには、自分の肩書きや立場とは無関係に真の自分に向き合ってみよう。その「真の自分」についてくる人がいるのなら、あなたは「真のリーダー」であるといえる。

「リーダーになりたくない」、「全員がリーダーである必要はない」という人もいるであろうがリーダーになるということは、必ずしも何かの組織の長になることではない。自分が正しいと思うことや情熱を感じることを貫き、他者を感化させることがリーダーシップであるから、たとえ「人の上に立つのは苦手だ」という人も、視点を変えることで自分なりのリーダーシップを開発することが可能だ。

真のリーダーシップを追求することは、「裸の自分に向き合い、この自分についてきてもらうためには、どうしたらいいのかを自問自答すること」である。自分自身を深く知り、成長させるためにも、リーダーシップを発揮してみることを薦めたい。


■■■リーダーシップのスタイル■

リーダーシップが、自分に内在するものを根源とする以上、決まった型などはないし、人に習うこともできない。 しかし、典型的なリーダーシップを参考にすることには意味があるといえよう。ここでは、ピープルフォーカス・コンサルティング社でのリーダーシップ研究に基づいた4つの「リーダーのスタイル」を紹介する。

1. 牽引型リーダー(人々の先頭を走る)
高い目標に向かって勇気と情熱をもって走る“達成意欲型”と、世の中の流れを察知して将来の姿を構想するクールな“鋭い洞察力型”に分けられる。前者の典型例は、阪神タイガース時代の星野仙一監督、後者はマイクロソフトのビル・ゲイツ氏。いずれのタイプにせよ人々はリーダーに感銘を受けて後をついていく。

2. 人格型リーダー(一段上から見守る)
自分の倫理観や価値観に基づいた基準をもち、その基準から組織がぶれないように教示し、見守るのが特徴。 京セラの元会長の稲盛和夫氏や小泉前首相はこのタイプといえる。

3. 触媒型リーダー(ファシリテーター型)
有能で多様な人材を集め、そういった人材の協働活動を促進する役割を担う。人々は自分の力以上の何かを生み出すことができる環境に惹かれてこのリーダーのもとに集まってくる。

4. 奉仕型リーダー(後方からの奉仕)
後方より人々を支え、人々が最良の状況で活躍できるよう配慮する。リーダーが組織に奉仕することで、その組織が顧客や社会に奉仕することを後押ししている。資生堂の元社長の池田守男氏はこのタイプの典型例であろう。


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異文化経営とは

■■■グローバル組織の運営■

企業はどのような場合に、いかなる異文化状況に直面するのだろうか。この分野の権威であるN.アドラーは、企業の国際化の段階・国際戦略を4つに分けている。

• 第1段階:国内のみで活動してきた企業
• 第2段階:輸出や海外生産を行うようになった国際企業
• 第3段階:海外拠点の現地化をする多国籍企業
• 第4段階:グローバルな視点から最適な製品開発、製造、販売活動が模索されるグローバル企業

段階が上がるにつれて、組織内の文化的多様性が顕在化して、より多くの社員に異文化状況に対応すること必要となる。第4段階のグローバル企業では、CEOから新入社員まで全ての人々に「異文化対応能力」が求められるといっても過言ではないだろう。

また、従来は「企業の国際化は段階的に進展する」と論じられてきたが、昨今の状況はそうとばかりはいえなくなった。例えば、インターネット販売を行う会社は、言葉の問題はあるにせよ、最初から海外の顧客に直面している。あるいは、まだ十分な国際化の経験を積んでいない事業会社において、グループ戦略の一環として海外のパートナーと組むという決定が下される場合もある。ある日突然、外資に買収されて、自社が外国企業の日本子会社になってしまうというケースや、海外のパートナーと短期間のうちに共同開発を進めなければならない、または、海外の社員も部下としてマネジメントしなければならない、外国人が上司になってしまった、などの状況は、“突然”やってくるのである。


■■■「文化的多様性」のメリットとデメリット■

外国からの赴任社員や外国人社員の短期的な受け入れによって構成される“マルチカルチャー・チーム”の特徴は、チームのプロセスがうまくいくと大きな生産性を生む潜在能力を秘めているが、うまくいかないと全く効果を上げないというリスクが大きいことだ。

マルチカルチャー・チームのメリットは、「メンバーのバックグランドの多様性から生じるアイデアの豊富さ、視点の幅広さ」である。問題の設定、解決策の創出、選択肢の評価、意思決定、実行のあらゆる局面において、ゼロベースでの検討が可能だ。チームの多様性のおかげで、偏った意見にグループ全体が賛同してしまうといった“集団思考の罠”に陥ることがない。しかし、このようなメリットが効果を発揮するのは、チームのプロセスがうまく管理されるという条件つきである。

異文化特有のデメリットとしては、国の文化に付随する先入観に囚われて、メンバーやその人の意見に対する認識に偏りが生じる可能性があることだ。また、外国語によるコミュニケーション、あるいは通訳を介するコミュニケーションは、通常の状態よりも不自由であるためにストレスを生みやすく、信頼関係が醸成されるプロセスを阻害しやすい。

■■■異文化トレーニング■

グローバルな視点をもつプロフェッショナルは、他の人間がつくりだした一般論を聞き及ぶだけでなく、より正確に自分の同僚を理解するために、同僚の行動様式を「なぜそうなのか」と問い続ける必要がある。

マルチカルチャー・チームのメリットを活かすべく、異文化状況におけるメンバーの能力を高めるためには、「異文化トレーニング」は有効な手段といえる。「何が違うのか」、「どうして違うのか」、そして「どうやって適応するのか」というステップを踏んでトレーニングを行うが、異文化トレーニングによって達成できることには次のようなものがある。

• 文化的な違いを容認し、その違いを建設的な方向で活用する。
• 自国の文化についてより深く理解し、その特質を他の人に客観的に伝える方法を習得する。
• コミュニケーションが行き違い、それによって無駄なコストがかかるようなミスを減らす。
• 外国人の同僚、顧客との信頼関係構築能力を向上させる。
• ビジネス目標達成のため、自分の行動様式を特定の文化の行動様式に適応させる能力を高める。


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変革ファシリテーターとは

■■■組織変革:変革ファシリテーター■

「企業は変革し続けなければ、生き延びられない」ということは、もはや企業経営の常識である。

一度始めた変革活動を途中で頓挫させることなく、むしろ、その気運を高めながら完遂させるには、変革を導くリーダーが、変革プロセスの各段階を理解して管理しなくてはならない。さらに、活動を“企業文化”として根付かせる意図をもつのであれば、ファシリテーションスキルを発揮しつつ、変革をリードする「変革ファシリテーター」の支援が不可欠だ。

会議におけるファシリテーターの役割とは、参加者の主体性を軸に会議のプロセスをリードすることだが、変革ファシリテーターもその本質は変わらない。変革ファシリテーターは、変革のプロセスをリードしながらも、一人でも多くの幹部や社員が「変革の当事者である」という意識を持てるよう、また、彼らが主体となって変革を推進できるよう、支援の役割を担う。

変革ファシリテーターがチームメンバーの一人ひとりを尊重し、変革へのプロセスを管理し、チームワークを引き出す。そして変革を継続的に定着させるべく最後まで粘り強く活躍することが変革を成功させる鍵となるのだ。

■■■組織変革へのステップ■

企業文化のレベルまで変革活動を定着させるプロセスを理解するのに役立つジョン・コッターの『変革8段階論』を参考にしながら、組織開発の観点から組織変革をファシリテーティブに導くステップを考えていくと次のようになろう。

緊急課題であるという認識を広める
人は本能的に従来の居心地のよい環境を好むものである。変革ファシリテーターは、人々に「変革の緊急性」を感じさせないことには活動を開始させることはできない。

強力な推進チームを結成する
変革ファシリテーターは、チームへの援助・信任の欠如やチームメンバーの偏り、リーダーシップ発揮不足などの落とし穴に入らないようチーム編成に注意を払いながら、強力な推進チームを結成する。

明確なビジョンを描く
より多くの人が「変革後の組織のイメージを描写したもの」であるビジョンを理解し、変革意欲が掻き立てられるようになるためには、「定量的目標と定性的なメッセージの組み合わせ」が有効である。また、「具体性と抽象性のバランス」も同様だ。理想的で高潔な将来の姿を描く一方で、ビジョンの内容がイメージしやすいように具体例を盛り込むといった工夫を凝らす。

浸透するまでビジョンを伝達する
ビジョンを根気よく繰り返し伝える必要があるのは勿論のこと、ビジョンが理解され、それに向かって行動を起こしてもらうようにする。また、企業の上層部や変革推進チームがビジョンに合致した行動をとり、「言行を一致させる」ことも重要である。

ビジョンを実現するうえでの障害を取り除く
変革のビジョンを実現しようとすると、必ず「組織構造や制度」と「抵抗勢力」の2種類の障害に直面することになる。変革ファシリテーターは早い段階でこれらの障害を見極め、取り除かなければならない。摩擦を恐れずに、対立に向き合う勇気と技量が求められる。

短期的な成果をあげて誇示する
変革を成し遂げようとする途中、様々な困難に出くわす。そこで、短期的成果を祝うことで、関係者の士気を上げ、変革を阻む抵抗勢力の活動を抑え、さらに多くの社員を変革チームの活動に巻き込む。

戦いはまだ終わっていないことを明確にする
短期的成果を周囲に告知する場合、あくまで「ビジョンの実現までの通過地点であること」を伝えるのを忘れないようにしたい。変革ファシリテーターは、本番はこれからなのだと言い聞かせ、支援し続けよう。

変革の成果を根付かせる
変革が企業文化として根付くようにするためには、変革推進チームが担ってきた役割を、各部署のリーダーたちにバトンタッチし、彼らがこの変革の重要性を現場で唱え続ける必要がある。やがて、我々が日常習慣的に歯を磨くように、社員たちが無意識のうちにもビジョンに沿った行動を取るようになった時、変革は成功と呼べる段階に来ているといえる。





2006年11月29日

エンゲージメントとは

今日では、多くの欧米企業が「従業員エンゲージメント」や「顧客エンゲージメント」の向上を最優先課題のひとつとして挙げている。

「エンゲージメント(Engagement)」とは、平たく表現すれば「会社に対する愛着心」といえる。従来の考え方と一線を画しているのは、「満足度」ではなく「愛着心」に着目している点だ。

自発的に行動し、仕事に熱中する社員、仲間を信頼し合い、組織の成功のために一丸となるチーム、そして高い業績。これは、誰もが夢見る理想の組織であろう。このような職場の尺度となるのが「エンゲージメント」レベルであり、最近、組織開発の分野で最も注目されている考え方なのである。

■■■組織におけるエンゲージメント・レベル■

「エンゲージ」されている社員は下記のような行動をとるといえる。

• 組織への信頼
• 改善への欲求
• 業務内容と「全体像」の理解
• 同僚への尊敬、協力
• 献身的に業務に取り組む姿勢
• 業界の最新動向の把握

そして、エンゲージメント研究が深まるにつれて次のようなことが明らかになってきている。

• エンゲージメント・レベルは業績向上と相関関係がある
• エンゲージメントを促進する要員には、理性的な部分と感情的な部分があり、感情的な部分が与える影響のほうが大きい
• エンゲージメント・レベルを把握するには、従来の社員意識調査や社員満足度の考え方は不適切である
• エンゲージメントは現場レベルで強化される


■■■顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメント■

ギャラップ社は世論調査で有名であるが、エンゲージメント研究においても、数百万人という膨大なデータ分析や企業の実態調査、そして脳医学上の実験までをも手がけており群を抜いている存在だ。

そのギャラップ社が行った或る企業の実態調査から、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントの両方が優れている事業ユニットは、両方の成績が悪いものと比べて格段に優れた業績を上げていたことがわかっている。それに加えて、両方が優れている事業ユニットは、どちらか一方しか優れていないものよりも業績が高かったという。また、その後の調査によって、顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントは事業ユニットのレベルで相互作用し、一方が一方を改善して、且つ、これを加速させ、業績全体を向上させていることを確認している。

このことからも分かるように、顧客や従業員の「エンゲージメント」を向上させることで組織力を最大化し、良質な顧客接点を作ることが可能なのである。