5つの視点:チェンジ
チェンジには「変える」「変わる」二つの意味があります。
皆さんはどちらの意味で使いますか?
リーダーやコンサルタントは「変える」という意味で使うことが多いように思います。
しかし我々PFCは「変わる」の意味でしか使いません。
「チェンジ」は
・与えられるものではなく、自ら変化するもの
・表面的な変化ではなく、内面的で本質的な部分の変化であるべきと考えるからです。
古いものを新しいものに書きかえたり取りかえたりすれば、「変える」ことはできます。
しかし、「変わる」ためには、変化を意識的に起こし、変わるための意識や活動や状態を継続するようサポートし、変わるための一連の動きをマネジメントすることが必要です。
これを「チェンジマネジメント」と呼んでいます。
ここではチェンジ、特にチェンジマネジメントに関してのPFCの考え方を
次の3点を中心にご説明します。
1)「変える」のではなく、“「変わる」をマネジメントする”
2)真のチェンジのためには、放任と制御のバランスをとる
3)チェンジの落とし穴に留意してマネジメントする
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1)「変える」のではなく、“「変わる」をマネジメントする”
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我々PFCでは、チェンジという言葉は「変わる」の意味あいでしか使わない。
いくら組織を「変える」ことを行っても、組織が「変わる」ことがないことは、皆さんも経験されているのではないだろうか。
「変える」という言葉には、外から行うニュアンスがある。また、一過性でワンショットのアクションの響きも残る。組織を「変える」という場合は、対象として組織のハード(組織の形態や構造)を指していることが多い。
一方「変わる」という言葉には、実質的な変化がもたらされているニュアンスがある。組織が「変わる」という場合には、真に質的な変化が起こり、組織のソフト(組織を構成する人々の意識や文化など)までをも含めている。
「変わる」ためには、組織を構成する人の内発的な動機と、ある程度の時間が必要不可欠だ。そこで、“チェンジマネジメント”という発想が大切になってくる。
チェンジマネジメントとは、即ち、「変化を意識的に起こし、変わるための意識や活動や状態を継続するようサポートし、変わるための一連の動きをマネジメントする」取組みをいう。
この取組みでは、合理的な計画を立て合目的的な策を施すだけではなく、ひとりひとりの心理への配慮や、組織のダイナミズムへの考慮などを、終始十分に行っていくことが求められる。
我々が組織“改革”ではなく組織“開発”と呼んでいるのも、「変わる」ためには内発的で時間のかかる取組みが必要との考え方を持っているからだ。従って、チェンジマネジメントは、組織開発の取組みそのものと言っても過言ではない。
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2)真のチェンジのためには、放任と制御のバランスをとる
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チェンジマネジメントは、「変わる」、即ち、真の変化をもたらすために必要な一連の動きをマネジメントする取組みと表現した。それはどのような取組みなのか。
「チェンジ」と「マネジメント」は、よくよく考えてみると、互いに相容れない言葉である。チェンジには、放任が必要であり、マネジメントとは、制御することを言う。しかし、まさに放任と制御の間にこそ、本質が横たわっている。
チェンジは“旅”に喩えられる。チェンジは、内発的な動機とある程度の時間が必要不可欠なので、まさに旅の喩えは言い得て妙と言える。それゆえ、チェンジマネジメントは、旅のマネジメントのようなものと思うとよい。
ほったらかしであれば、よほど自立した“旅人”以外は、立ち往生してしまう。目に見えない旅なので、何らかの仕掛けやサポートがないと、ほとんどの人がそもそも旅に出られないまま終わってしまう。一方、ずっとつきっきりの添乗員の指示に従う旅ではつまらない。何より、行って帰ってきても本人に何の変化も起きない。
実際の組織のチェンジの現場では、どうしていいか分かっていないために、あるいは遠慮や躊躇からほったらかしにしてしまうか、つきっきりの添乗員のように断片的なイベントへの参加を押し付けるだけでマネジメントしているつもりになっている変革推進者は少なくない。
それでは、放任と制御のバランスの妙を押さえたチェンジマネジメントを行うために、どのようなことをすべきか。ここでは、いくつかあるチェンジのステップから、まず最初のステップで行うことを2つ取り上げ具体的に説明しよう。
●旅の向かう先を描く+緊迫感を醸成する
どんな旅でも、どこからどこに行くのかを考えることからプランは始まる。チェンジも同じだ。しかし、道中や旅先で何をしようかの詳細は考えているが、では「どこ(現在いる場所)からどこ(向かう先)に行こうとしている旅なのか」を問うたときに、明確に答えられないことが多い。「○から○へ」、チェンジのテーマはシンプルに表せるはずだ。
向かう先をチェンジのビジョンという。ビジョンは重要だが、ビジョンだけ示しても実際にはチェンジが起きずに終わることが多い。
向かう先がどんなに素晴らしい世界だと示しても、組織や人は動かない。ふつうは現在いる場所が、何とも居心地がいいものだからだ。そこで、「なぜ現在いる場所にこのまま留まっていてはまずいか」を心底思い知ってもらい、これを「変わる」の原動力とすることも欠かせない。
●フォローの風の活用+アゲインストの風への対処
旅の途中に巻き起こるであろう“フォローの風”と“アゲインストの風”の全体像を予め描いておくことも、チェンジマネジメントの最初の重要な取組みのひとつだ。
チェンジでは、課題を明らかにし、解決策や取組み内容を考えることは、もちろん中心となる活動だ。しかし、策や取組みの一つ一つを考えること以上に、風の全体像を意識することがチェンジマネジメントにとっては不可欠な作業だ。フォローの風をうまく使って、ひとりひとりの「変わる」気持ちを醸成し、抵抗勢力に対処しながら、アゲインストの風を何とか弱めていく。このようなことを、予め可能な限り想定しておき、意識して行っていくことがチェンジマネジメントに求められる。
これら2つの例で、チェンジマネジメントに求められる放任と制御のバランスのイメージは沸いただろうか。
現在いる場所から動こうとするエネルギーを生むための緊迫感の醸成と、向かう先を明確にイメージし描き示すことについては、絶対に欠かせないので、活動の強いコントロールが必要だ。しかし後はある程度放任し、自主的な動きを待つ。
また、フォローの風とアゲインストの風をうまく扱っていくことも、チェンジの成功に欠かせないので、意識しマネジメントすることが必要だ。しかし策や取組みのひとつひとつは任せる。
このようなバランスを保つことが、うまいチェンジマネジメントだ。
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3)チェンジの落とし穴に留意してマネジメントする
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最後に、数多くのチェンジがはまってしまう“落とし穴”を、我々の経験から整理したので、特に主要なものを紹介したい。
これらの落とし穴を予め意識し、これらに留意して進めることが、まさにチェンジマネジメントだ。
落とし穴1:プロジェクトの目的や成果イメージが不明確なままスタートする
落とし穴2:既存のプロジェクトや取り組みとの関連性が曖昧で、社内が混乱する
落とし穴3:手法が企業変革を可能にするという思い込みが強い
落とし穴4:上層部や担当者のリーダーシップが欠如している
落とし穴5:手法を実施すること自体が目的になり、「やりっぱなし」に終わる
通常我々は、チェンジの最初の段階で、これらの落とし穴について、経営陣や変革推進者達と十分に話し合いをする。落とし穴についての理解を深め、これから始まるチェンジについてのイメージをすり合わせ、落とし穴を回避するための策を考えるためだ。
その際に通常我々が、経営陣や変革推進者達に投げかける問いを、ここでは皆さんにも投げかけたい。
落とし穴1:目的・目標
・目的:貴社は、なぜ今これに取り組むのか?
・目標:このプログラムが完了した時点で何を得たいのか?財務的、あるいは定量的な目標値は?定性的な目標は?
落とし穴2:基本的位置づけ
・オーナーシップ:この取組みのオーナーは誰なのか?
・位置づけ:社内の他のプロジェクトとの関係は?他の活動ではなぜ駄目なのか?これは「課外活動」なのか業務としての活動なのか?
・対象:全社員を巻き込むのか否か?派遣社員なども巻き込むのか?
落とし穴3:コミットメント
・リーダーの本気:上層部はどれほど本気なのか?社員に上層部の本気度をどのように伝えるのか?
・推進チーム:強力な推進チームを有しているか?その推進チームに活動に必要な権限やリソースを与えているか?
落とし穴4:取組みの加速化
・巻き込み:社員たちをどのように励まし動機付けするか?仕事が増えただけと思う社員にはどう対処するか?
・障害への対処:改善策実行段階での障害をどのように取り除くか?
落とし穴5:成果の把握
・成果の把握:成果をどのように把握していくか?
・成果の評価:成果をどのように評価するか?フォーマルな評価とインフォーマルな評価
さて、チェンジとチェンジマネジメントについて考えてきた。
最後に皆さんに質問して終わりたい。
皆さんの考えるチェンジは、「変わる」だろうか?
つい“「変える」”という発想になっていないだろうか?
“「変わる」ために必要なこと”を考え実践する意識を、変革推進者は保ち続けてほしい。(PFC取締役 松村卓朗)
